<街を焼き払う巨大少年>
ねこのふぐりを企画が固まる前は、実はこんなコスチュームを考えていました。
誰が見てもウル○ラマンのパクリですが(笑)巨大特撮物と言えば
ウェットスーツ系のコスチュームが定番中の定番でしたからね。
そんな時に今野さんのサイトを知ったわけで、ある意味ネタ回避のために
今のセーラーレオタードにデザインを変更したのでした。
セーラー襟のルーツは胸元の飾りから来ているのです。
また、当初のストーリーは地球の少年が変身するのではなくて、ネコミミ星から地球にやって来た
巨大少年が殺戮と破壊の限りを尽くすというストレートな話だったのです(笑)
そもそも、破壊萌えの私としては理屈抜きで少年が街でやりたい放題という展開を狙っていたのですが、
ネタ出していくうちに、一方的に暴れまくるのでは話が破綻してしまうと思ったので
正義?のヒーロー物に路線変更しました。
今の風栗が一人で大暴れするお話は、この時に考えたネタをベースにしています。
それにしても、これで進んでいたらどういう事になっていたのでしょうか?(笑)
なお、色違いバージョン(夜明けの赤コスチューム編)は今野さんのサイトに
引っ越し記念として贈りましたので、是非、訪問してご覧になってください。
<第1話:空から降りてきた少年>
蒸し暑い夏の一日が終わろうとしているとき、突然、空が鈍く輝いたかと思うと巨大な光の塊が雲間から降りてきました。光の玉は街の上空まで来るとしばらくの間、ゆっくりと街を見渡すかのように浮遊を続けました。その光はほんのりと青白く、あたりがゆっくりと暮れていく中で淡い光を放っていました。街の人々は空中にぼんやりと浮かぶ光球を見上げて不思議そうにしています。
しばらくして、光がすっと消えていき中から人影が現れると、その巨大な影の塊が街並みに向かって早いスピードで落ちてきました。次の瞬間、街中に凄まじい衝撃が走ると同時に街中の人々が一斉に衝撃音がした方向に目を向けると、そこには信じられない光景が広がっていたのです。夕闇迫る住宅街に身長が100m以上もある巨大な少年が降り立っていました。着地した地点には10階建てのマンションが建っていましたが、この少年によってメチャメチャに踏み潰され、膨大な量のガレキの山になっています。
「ボクの名はブルーキャット! 今からこの星はボクのモノだ!」
天高くそびえ立つ少年は、街中に響き渡る明るい高い声で叫びました。少年は地球の子供でいうところの11〜12歳、ツートンカラーのきれいなブルーのスーツに身をまとい、茶色の髪の毛とまだ幼い顔が印象的でした。頭には大きな耳が付いていてあたりを伺うように時折、わずかに動いているようでした。
街中の人々は固唾を飲んで突如現れた少年に注目していましたが、徐々に闇に包まれ始めた薄明かりの中、少年がニコリと笑っていたことに気付く人はほとんどいませんでした。
少年はそんな街の人々の様子を気に留める気配もなく、ゆっくりと両手を腰に据えるとこう言い放ちました。
「今日は挨拶代わりにこの街を焼き払ってやるよ!」
およそ、そのかわいい顔から発せられたとは思えない衝撃的な内容に、街中がパニックに陥りました。興味本位で少年を見上げていた人々は一斉に四方八方に散らばり始めました。
「まずは準備運動かな?」
少年は眼下に広がるマンション群を見据えると右足で思いっきり蹴りつけました。大爆音とともにもの凄い砂塵が巻きあがり、10階建てと14階建ての2棟のマンションは一瞬のうちに崩れ去り粉砕されてしまいました。
「あはは…これは面白いぞ!」
そう言うと少年は足元にぎっちりと建ち並ぶマンション街に足を踏み入れると、あたりかまわず激しいキックを炸裂し始めました。少年が蹴りつけたマンションからは室内の明かりが消え、代わりに炎が噴き上がりました。
「キックの練習にちょうどいいや!みんな潰してやるよ!」
このあたり居住地区でもあるのであまり高いビルはなく、ほとんどが少年の膝上から腰下程度の高さです。ビルを簡単に粉砕できるのを知って、少年のキックはさらに激しさを増していきました。左右両足で次々と繰り出される少年のキックは、凄まじい破壊力で瞬く間に1km四方に及ぶ住居地区を潰滅させてしまいました。足元では渋滞で逃げ場を失ったたくさんの車がビルと一緒に次々と蹴り潰されて爆発していきます。街はすでに暗闇に包まれていましたが、次第に燃え上がる炎で明るく照らされていきました。
「こんなガラクタをいちいち蹴るのは面倒だな」
わずか30分足らずでひと通り住居地区を破壊し尽くして火の海にしてしまったにもかかわらず、燃えさかるガレキの山を見ながら少年は不満そうな表情を浮かべました。すでに大きめのマンションは全て少年のキックの餌食となって残っておらず、少年は仕方なく隣接する商業地にある4〜5階建ての集合住宅や雑居ビルといった自分の膝下にも満たない低層のビルを蹴り潰していたのでした。
低層ビルの破壊に飽きた少年は、まだ破壊していない街の中心部に体を向けました。そこは賑やかな商業地区のため、広告のネオンや明かりが無数に輝いていて少年の目には綺麗な光景に映りました。
「もっと明るくしてやるよ…」
少年は目を閉じて胸の前で手を組むと力を入れました。すると体全体が青白い淡い光に覆われていきます。しばらくして、その光が胸元に集まったかと思うと少年は目を開けて一気に両手を前に突き出しました。
「ライトニング・フラッシュ!!」
少年が叫ぶと同時に青白い光が太い束となり手のひらから撃ち出されました。光の束は凄まじい衝撃を周囲に与えながら、街の中心部に到達すると闇を切り裂くように広がっていきました。高層ビルが建ち並ぶ街の中心部は一瞬のうちにその光に飲み込まれていきます。
次の瞬間、光の中心点に閃光が走ったかと思うと青白い光は明るいオレンジ色と赤色に変色し大爆発が起こりました。爆発の威力は街全域に広がり、つい30分前まで平和だったこの街は、今や全てが火の海に包まれ地獄と化しています。
ほとんどの建物が破壊され無惨な姿となっている中を、威力を確認するかのように少年がゆっくりと歩いてきました。激しく燃えさかる炎に煽られて髪の毛が揺れています。
「しばらくはこの星で楽しめそうだな…」
すでに少年の声を確認できる人はこの街にはいませんでした。
(おわり)
2002/04/16