もうすぐ梅雨明けですが、寅島市ではこのところ大雨が続いています。
市の予算でマーカライトファープを購入したために、結局、トラジマくんの倉庫は梅雨には間に合いませんでした。
ウルトラマンクスに破壊された市庁舎の再建も滞っているようです。
<以下、SSです>
トラジマくんはできるだけ濡れる面積を減らすために体育座りをして縮こまっていました。
そんなある日、ウルトラふぐりんとウルトラマンクスがやって来ました。
「トラジマくん! お久しぶり〜元気だった?」
ウルトラふぐりんはトラジマくんに話しかけましたが、トラジマくんは浮かない顔をしています。
「どうしたの?」
ウルトラふぐりんは心配そうにトラジマくんを覗き込みます。
「雨のせいで身体が錆びちゃうんです…」
トラジマくんはか弱い声で答えました。
「オレ達が何とかしてやるよ!」
ウルトラマンクスはそう言うと胸を張りました。
「ふぐりん、あれで雨をしのげるんじゃないか?」
「あーそうだね〜ちょうどいいや!」
2人が向かった先は市役所近所のスーパーマーケットの立体駐車場でした。
「よし! 静かに剥がそうぜっ!」
「うん!」
2人は力を加減しながら駐車場の屋根を剥がしていきます。
雨のせいで駐車場にはたくさんの車や人がいましたが、2人はお構い無しです。
屋根を傾けながら剥がしたせいで、ほとんどの車や買い物客は落下していきました。
「これでよしっ!」
ウルトラマンクスはウルトラふぐりんに目で合図を送るとトラジマくんのもとへ歩き始めました。
「トラジマくん! お待たせ〜♪」
2人はトラジマくんの身体を屋根で覆いました。
「これで雨はしのげるだろ?」
ウルトラマンクスが得意げにトラジマくんに話しかけます。
「お2人とも…すみません…ボクのために…くすん」
トラジマくんは半分、涙声です。
「ああっ、頼むから泣かないでよ〜」
「相変わらず弱気なヤツだなぁ…」
その日の雨が止むまで2人はトラジマくんを見守っていました。
2007/07/22