新年早々、地球に遊びにやって来たウルトラふぐりんとウルトラマンクス。
今年も殺戮の1年になるようですね…
<以下、SSです>
元旦の翌日、寅島市はとても良い天気に恵まれました。
晴れ上がった青い空から現れたのはウルトラふぐりんとウルトラマンクスです。
彼らもお正月休みで地球に遊びにやってきたようです。
「小人のみなさ〜ん! あけましておめでとうございま〜す!」
着地したウルトラふぐりんは街中に響き渡る声で挨拶を始めました。
「お正月ですから、今日は縁起よくビルつきをやりま〜す!」
「何なんだよ? ビルつきって…」
すかさず、ウルトラマンクスが突っ込みました。
「この辺りではお正月にお餅をつく風習があるんだって」
「ふ〜ん。それで?」
「お餅の代わりにビルをついたら面白いと思わない?」
ウルトラふぐりんはニッコリと笑顔を見せました。
「新年早々、鬼畜だなぁ〜」
「そうかな? マンクスには及ばないよ」
「よく言うよ…まったく」
ウルトラマンクスは少しあきれたように笑いました。
「それで、わざわざハンマー持ってきたのか…」
「そうそう! ハンマーでビルをドゴーンと」
2人の手にはM5656星から持ってきた巨大なハンマーが握られています。
「で…どれをつくんだ?」
「そうだね〜 あれだね!」
ウルトラふぐりんが指差したのは寅島市で一番大きなデパートでした。
今日は初売りという事もあって大勢の人で賑わっています。
2人は足元のビルを踏み潰しながらデパートのそばまでやって来ました。
「ふ〜ん。小人でいっぱいだな…数万人はいるな…」
ウルトラマンクスは腰を落として注意深くデパートを観察しています。
「今日が初売りって書いてあるよ。くすくすっ」
そう言うとウルトラふぐりんは、つま先でデパートの正面玄関をメチャメチャに破壊しました。
玄関は大勢の人で混雑していたのですが、逃げ回る人々は無差別に次々とウルトラふぐりんのブーツに潰されていきます。
「これで、もう逃げられないよ…」
ウルトラふぐりんはすっかり殺戮モードになっています。
「でもさぁ、ちょっとやりすぎじゃね?」
逃げ惑う人々を見ながらウルトラマンクスがつぶやきました。
「いいんだって! この星の小人さんは増えすぎて、このままだと絶滅するかもしれないんだよ…だから、ボクたちが少しでも減らしてあげなきゃ!」
「あー、なるほど、増えすぎてんだ…」
ウルトラふぐりんはもっともらしい説明をすると、ウルトラマンクスは納得してしまいました。
「じゃあ、ボクからいくね!」
ウルトラふぐりんはハンマーを高々と持ち上げると構えのポーズをとりました。
「せぇ〜のっ!」
巨大なハンマーが轟音と共にデパートの屋上目掛けてに振り下ろされました。
ズガガガガーン!!!
凄まじい衝撃と共にデパートの建物全体が大きくきしみ、細かく砕けた破片が踊るように飛び散っていきます。
そして振り下ろされたハンマーはデパートの中層階まで突き抜け大きな穴を開けました。助けを求める人々のうめき声は2人には届きません。
「次はオレなー」
ウルトラふぐりんがハンマーを引き抜くと、今度はウルトラマンクスがハンマーを打ち込みました。
デパートの建物全体が歪んでいきゆっくりと崩壊していきます。
「よいしょっ!」
続いてウルトラふぐりんがハンマーを振り下ろしました。
デパートは大量の砂塵を巻き上げながら低層階を残して完全に崩壊してしまいました。
「意外にもろかったな…」
瓦礫の山になったデパートを見ながらウルトラマンクスは手を払いました。
「そうだね…ちょっと物足りないよね」
どうやらウルトラふぐりんは殺戮モードから抜けきっていないようです。
「マンクス! 次は駅ビルをつこうよ」
「しようがないなぁ…ふぐりんは」
2人は寅島駅を目指して歩き始めました。
2008/01/06