「全然手応えがなかったな…」
怪獣退治を終えた小狼は腰に手をあてて戦場となった街並みを見下ろしましました。本気になれば数発のキックで退治できる怪獣でしたが、 小狼は怪獣を軽く蹴り付けて転倒させビルを破壊させたり、足場の確保という理由で雑居ビルやマンションにキックを浴びせメチャメチャに 破壊していきました。
「ん…何だ?」
小狼は少し離れた場所にたくさんの小さな人影を見つけました。小狼は早速そばに近寄って見るとそこは幼稚園でした。幼稚園の建物はほぼ無傷で残っていて園児達が 中庭に集められています。どうやら戦闘が終わったのでこれから非難を始めるようです。
(見逃してたぜ…)
小狼は近くに乗り捨てられていた転倒したバスを2台掴みあげると、幼稚園のそばに腰を降ろしバスを幼稚園前の道路に並べました。
「この付近は危険です。これから安全な場所に連れて行きますのでみんなバスに乗ってください」
巨大なヒーローが現れて幼稚園児は大騒ぎでしたが、園児たちは引率の先生によって何とか2台のバスに乗り込みました。
小狼は園児たちで一杯になったバスを両手に掴むと空高く持ち上げました。園児たちは大騒ぎで窓下に広がる風景に釘付けになっています。
(まずはボレーキックで仕留めてやるか)
小狼は最初から園児たちを助けるつもりはありませんでした。なぜなら一番守らなければならない弱い存在である子供たちを自分の圧倒的な力で粉砕することに快感を感じるようになっていたからなのです。
小狼は左手に掴んでいたバスを放り上げました。その瞬間、車内の園児たちの声が歓声から悲鳴に変わりました。
「よぉーし!キッーク!」
落下してきたバスにタイミングを合わせて小狼は右足を繰り出しました。小狼のスパイクは園児たちで詰まったバスを捉えると一気に粉砕してしまいました。まるで爆発するように粉々になったバスはキックの反動で数百メートル四方に飛び散っていきます。
「あははっ!おもしれー」
飛び散ったバスを見て小狼は満足そうでした。
「さてと、こっちはどうしてやるかな?」
小狼は右手で掴んだバスを持ち上げ車内を眺めました。 正義のヒーローのボレーキックによって始末されてしまったバスを見たせいか園児たちはショックを受け泣きわめいています。
「お前たちはもっと楽しませてやるよ」
そう言うと小狼は腰を降ろしました。
続く…
2004