第3話
ひとじち (01/09) 01/11/25


学校が再開して最初の日曜日、風栗はお買い物に出かけました。
今月のお小遣いをもらったので、前から気になっていたコミックスを買いに来たのです。
本当は久々に中心街まで行きたかったのですが、お小遣いの倹約のためにひとつ手前の街にしました。
ここは風栗が学校に通うための乗り換え駅です。駅前にはデパートや商店街があり、
基本的には何でも揃うので風栗はたびたび立ち寄っていました。
買い物が終わって街中を歩いているとファーストフード店の広告が目に入りました。
「あ〜新しいメニューだぁ…」
風栗はハンバーガーが大好きです。学校に帰りに友達を誘って食べることもありました。
ふと時計を見ると午後1時廻っています。風栗はお店に入ることにしました。
「ベーコンレタス激辛ビーフンバーガーください…」
これで学校で誰かに味を聞かれても大丈夫だな…と風栗はご機嫌でした。
「いっただきま〜す♪」
お目当てのハンバーガーを受け取ると風栗は頬張りました。
その瞬間、風栗の顔が曇りました。
「うっ、まずい…」
どうやら大人向けのメニューだったようです。
風栗はジュースを飲みつつ、半ば泣き顔でハンバーガーを食べ続けました。
「……!」
そんな時、地響きににも似た衝撃が始まりました。
少しずつこちらに近づいてきているようです。
とっさに何かを感じ取った風栗は食べかけのハンバーガーを放り出して急いで店を出ました。




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