第4話
しゅくだい (01/06) 02/01/16


夏休みも終わりに近づいたある日、風栗はとても焦っていました。
というのも、夏休みの自由研究の宿題のテーマがまだ見つかっていなかったからです。
植物を育てて成長日記をつけるとか、昆虫を飼って飼育日記をつけるとか宿題のテーマは
いろいろあるはずなのですが、変身して巨大ヒーローになることができる風栗にとっては
どれもあまりに普通すぎて研究する気になれませんでした。
「どうしようかなぁ…」
いつまでも悩んでいても仕方ないと思い、風栗はネタを探しに図書館にやってきました。
動植物系は今からでは間に合わないと思い、社会系を調べることにしました。
風栗が書架の本の背表紙を眺めていると一冊の本に目がとまりました。
「寅島市水害史…洪水ってこと?」
このところ、風栗は変身しては派手に暴れまわっているので被害とか災害という言葉に
敏感になっていたのでした。
風栗はボロボロになりかけた少し重めの本を抜き取って閲覧室に運んでいきます。
「…難しいな」
本は地元の郷土史研究会が発行したもので、少し文体が古かったのと
写真が少なかったので小学生の風栗にとっては少し辛い内容でした。
ですが、風栗の目は今から40年前にあったという大水害の白黒写真に釘付けになりました。
街中の家やビルが水没し、車や電車が浮かんで大変なことになっています。
「そうだ!これならきっとすごい研究になるよ!」
風栗は急いで本を片付けると外に飛び出していきました。




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