第4話
しゅくだい (02/06) 02/01/22


自転車に飛び乗った風栗は山奥にあるダムに向かいました。
ダムまでの20キロの山道を風栗は汗だくになりながら登っていきます。
暑い日ざしが照りつける中、風栗はようやく昼過ぎにダムに到着しました。
「さてと…まずは挨拶しておかないとね」
風栗は自転車を道路わきに止めてカチューシャを取り出すと巨大化しました。
「こんにちわぁ〜! ちょっと見学させてください」
そう言うと風栗はダムの管理事務所に足を乗せるとゆっくりと踏みつけていきました。
そんな風栗の体重に耐えられるはずもなく、事務所はギシギシと音をたてながら
メチャメチャに潰れていきます。
「あ! ごめんなさい…」
ちょっとわざとらしいかな…と風栗は少し照れるのでした。
次に風栗は事務所の横にある駐車場を足で激しくかき回しました。
そこに止めてあった車はグチャグチャになり、全て鉄くずのスクラップになりました。
「これでよし」
去年、風栗はこのダムに社会見学で来たことがあったのです。
その時の説明にダムは管理事務所で24時間モニター監視していることを風栗は覚えていたのです。
風栗はこれから行なうことは誰にも見られてはいけないと思っていました。
それは街を守るはずの正義のヒーローにあるまじき行為だったからです。




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