第11話
にせもの (04/10) 04/12/21


風栗は自分の身体が光に包まれて巨大化していくのを感じました。
風栗とマンクスの頭が電車の天井を突き破った瞬間、
電車は真っ二つに裂けてしまいました。
走行中の電車で勢いがついていたためにバランスを崩した風栗は、
頭からひっくり返り、さらに顔を線路に強打しました。
そこにマンクスが覆いかぶさるような形で倒れこんできました。
「うわわわぁー!」「っー!!」
声にならない悲鳴を上げて、二人は抱きあったままごろごろと数回横転しました。
まるで柔らかいウエハースのように、高架橋が電車ごと潰れていきます。
激しい衝撃波が走り、次々と沿線の建物が崩壊していきました。
二人の巨大な身体は、500メートルに渡って高架橋と建物を粉砕し、そこでようやく停止しました。
「いったー…っ!」
「は、早く降りろ!」

上に乗っかった風栗に、なぜかマンクスは焦ったように叫びました。




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