第2話
ちからだめし (02/09) 01/10/03


風栗は駅に着くといつも学校に通う同じ行先の電車に乗りました。
終点の隣町に行こうと思ったのです。
月の半ばで風栗はほとんどお小遣いを持っていなかったのですが、
学校のある駅から乗り越せば、そんなにはかからないだろうと思いました。
「都合良く怪獣が出るわけじゃないし…どうしよう?」
電車の中で自分の力試しの方法についてあれこれ風栗は考え込みました。
でも、どうすれば一番手っ取り早いかはとっくに答えが出ていたのです。
しばらくして電車のスピードがガクンと落ちました。

「復旧工事のため徐行運転をしております…皆さまのご理解とご協力を…」
車掌のアナウンスに風栗は顔をあげました。
そこは先日の戦いで風栗が壊してしまった自分の通う学校がある駅でした。

「知っている人がたくさんいる所じゃ、やっぱやりにくいよね…」
線路脇に広がるガレキの山を見ながら風栗はそう思いました。
再びスピードを取り戻した電車は30分走って終点の駅に滑り込みました。
案の定、風栗はたいした金額を払わずに駅を降りることができました。
そこは風栗が住んでいる街と隣接する街で衛星都市の役割を果たしています。
風栗は何年か前にこの街に一度だけ来たことがあるぐらいで、学校の友達や親戚もいませんでした。




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