風栗はくるっと向きを変えると専門店やレストラン街が入っている駅ビルを見下ろしました。
「駅ビルにはたくさんお店があるし、隠れやすいよね…」
そう言うと風栗は少し意地悪そうな笑顔を浮かべました。
そして次の瞬間、何もためらうことなく右足で駅ビルを蹴りつけました。
凄まじい音と砂煙を巻き上げて10階建ての駅ビルの左半分が吹き飛びました。
「ふ〜ん、意外にもろいんだ…」
風栗としては2〜3割の力で控え目にキックしたつもりだったのですが、
メチャメチャになったビルを見て自分の圧倒的な破壊力を知ることになりました。
「こっちかな?」
続けざま風栗は残っていた右半分にもキックを炸裂させました。
今度は少し強めに蹴ったので、ビルは原型をとどめないほどに粉砕されて飛び散りました。
「あれれ?ここにはいなかったみたいだね…」
風栗は不規則に残った低層階の部分を左端から順番に踏み砕いていきました。
風栗の足は地下街や地下駐車場までも踏み抜いてメチャメチャに潰していきます。
風栗は自分の知らない街とは言え、何も抵抗できない人たちに対して
とても酷いことをしているという意識はありましたが、自分の圧倒的なパワーをもっと
街の人たちに見せつけたいという願望が湧いてきました。