風栗が目を凝らしてバスの中を見ると中には数十人の乗客がいるようです。
振り回されるバスの中でみんな助けを求めています。
「人質をとられては手も足もでまいパパン」
怪獣は得意気になって風栗にバスを見せつけました。
「さぁ、俺様の言うことを聞いてもらおうかパパン」
ところが風栗は少しも動揺している様子はありません。
「ふ〜んだ!キミの言うことなんか聞くもんか!」
そう言うと、風栗は怪獣の前に踏み出すと指でバスを弾きました。
ベチンという鈍い音と共にバスは複雑な形に潰れてしまいました。
「パ、パパン…!?」
あまりの出来事に怪獣は開いた口がふさがりませんでした。
自分で正義の味方と名乗っている少年がいきなりバスを潰してしまったのです。
「ひ、人質がパパン…!」
怪獣の手から潰れたバスが滑り落ちました。怪獣はすっかり動揺してしまったようです。
風栗としては怪獣と争ってバスを取り上げたところで潰してしまうのがオチだと思いました。
どうせ助からないのなら有効利用させてもらおうと考えたのです。