第6話
おつかい (02/08) 02/07/02


「そうだ…これも買っちゃおう」

そういって風栗は自分の好きなお菓子を一袋カゴに入れます。
これはおつかいのお駄賃ということでお母さんと風栗の間で暗黙の了解となっていました。
買い物も終盤に差し掛かった頃、足元から地響きがしてきました。
僅かな振動が次第に大きな揺れになっていき、やがてぴたりと止まりました。
「あれ?地震だったのかな…」
風栗は不思議に思いながら、買い物を続けようとしたそのとき、
激しい音とともにフロアの中央を突き破って巨大な影があらわれました。
「ええーっ!?」
あまりに突然の出来事に風栗はうろたえました。
そこには高い天井に背が届くほどの大きな黒い怪獣が立ちはだかっていたのです。
大勢の買い物客が悲鳴をあげながら逃げ始めました。
「や、やっつけなきゃ!」
風栗は隠し持っていたカチューシャを急いで頭にのせました。




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