第7話
てんこうせい (02/08) 02/10/27


「いたぁ…」
風栗の乗っていたバスは横転して止まりました。幸いどこにもケガはないようです。
あたりは砂煙が立ち込めていて外の状況はよくわかりません。
「とりあえず、ここから出なきゃ…」
風栗はバスの天井をよじ登って窓を開けると何とか外にでることができました。
「ブルーキャットはどこだっ!出て来いっ!」
突然上空から響いてきたとてつもない大きな声が風栗の鼓膜を揺るがしました。
驚いた風栗が視線を上げると、そこには巨大な少年がビルの合間に立ち尽くしていました。
「……!」
その少年の姿を見て風栗は声を失いました。
自分と同じような少年がもう一人いるなんて、とても信じることはできなかったからです。
「この街にいることはわかってるんだぞ!早く出てこないと…」
少年は一方的に喋ると足元の倒れかかったビルを右足で蹴りつけました。
ビルは爆音と共に粉々に砕け散りました。しかも、ビルを蹴り潰した少年は顔色ひとつ変えていません。
もし、この少年が本気で暴れ出したら街は数時間で壊滅してしまいます。
「た、大変だぁ…」
風栗は急いでバスから飛び降りると人目を避けるように物陰に隠れてカチューシャを取り出しました。




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