第7話
てんこうせい (03/08) 02/11/05


「何だこれ?」
街を見下ろしていた少年は足元に転がっている脱線した電車に興味を示しました。
そして車両のひとつを拾い上げると観察するように中を見回しました。

「ちょっとキミっ!」
その時、風栗の高い声が街中に響き渡りました。
少年は声がした方向を向くと顔つきを鋭くしました。

「お前がブルーキャットとか言うヤツか…」
「そう…ボクがブルーキャット!街を壊すのはやめなよ!みんな迷惑してるじゃないか!」
まだ相手の素性が分からないので風栗は様子を探ることにしました。
「…お前には言われたくないぞ…」
少年は目線で風栗の足元を指しました。
風栗はすでにいくつかの雑居ビルを踏み潰しています。
「え…いや、これは…」
この近辺は足の踏み場のないほどビルが密集しているのでどうしようもありません。
「ちょっと足が滑っちゃって…だから…」
風栗が答えに詰まっていると少年はゆっくりと喋り始めました。
オレのペットをこの星で遊ばせてやろうと思ったのに、邪魔するヤツがいるんだよ…」
「ペット…? もしかしてペンギンとかパンダってキミの…」
「うるさいっ!たっぷりと礼をしてやるよ!」

少年は手に持っていた電車を両手でグシャリと握り潰して投げ捨てると
風栗に襲いかかってきました。




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