第7話
てんこうせい (06/08) 02/12/12


少年は倒れた風栗にまたがると転がっていた電車をつかみました。
「これで気持ちよくさせてやるよ!」
そう言うと少年は電車を風栗の首にあてがい力を込めてグイグイと絞め始めました。
電車はギシギシと鈍い音を立てながらみるみる間に歪んでいきます。
「く…苦しいよっ…」
ですが、風栗はまったく抵抗する様子を見せませんでした。
風栗は一撃のキックで倒されてしまったショックですっかり戦意をなくしていたのです。
(この子にはかなわないや…)
そう思うと風栗は何だか悲しい気分になってきました。
「どうしてボクがこんな目に遭わなくちゃ…」
風栗の大きく澄んだ瞳に涙があふれてきました。
「お前…!」
風栗の涙に驚いたのか、少年はゆっくりとにぎっていた電車を放しました。




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