第8話
きょうそう (03/08) 03/05/06


全速力で走る風栗は電話ボックスを見つけると急いで飛び込みました。
逃げ惑う人々を横目で見ながら周囲を確認した風栗は
カバンからカチューシャを取り出すと変身を始めます。
風栗はビルを壊さないように気をつけながら上手に変身しましたが、
体勢を立て直すため通りに立った弾みに、避難しようとしていた車を何台か踏み潰してしまいました。
風栗は少し顔を曇らせましたが、今はブラックキャットとの対決が最優先です。
すぐに気を取り直した風栗はブラックキャットを睨みました。
「やっとあらわれたな!ブルーキャット!今日こそ決着をつけてやる!」

ブラックキャットは余裕の表情を崩すことなく風栗を睨み返します。
「これ以上、街を壊すのはやめてよ!」
「…はぁ?」

風栗の指図が気に入らなかったのかブラックキャットは足元のビルを蹴りつけました。
蹴られたビルは砂煙をあげながら崩壊していきます。
「だから、やめてってば…」
「そんなセリフはオレを倒してからにしろ!」
ブラックキャットは崩れ残ったビルを踏みにじりながら風栗の言葉を遮ります。
「……」

先日の戦いを思い出した風栗は少しひるみました。
二人の少年の戦いを前に街は一瞬、静寂に包まれました。




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