第8話
きょうそう (04/08) 03/05/11


「さぁ、どこからでもかかってこい!」
先に沈黙を破ったのはブラックキャットでした。
ブラックキャットを前にした風栗はどうしたものか悩みました。
勢いで巨大化してしまったものの、このまま戦ったとしてもとても勝てる見込みはありません。
それに運良く勝てたとしても街はメチャメチャになってしまうでしょう。
(どうしよう…)
風栗は直接対決を避ける方法はないか考えました。
(そうだ!かけっこなら勝てるかもしれない…)
「どうしたんだ?おじけづいたか?」

さっきから動かない風栗にブラックキャットは少し苛立ち始めました。
「ここからあそこのクレーンまで競争しようよ!」
風栗は自信に満ちた顔で大きな声で言い放ちました。
「は…?」
風栗の提案にブラックキャットは一瞬、驚きましたが、すぐに表情を取り戻しました。
「ふ〜ん、おもしろいこと言うな…いいだろ。その勝負受けてやるぞ!」

「先にクレーンを引き抜いた方が勝ちだからね!」
「わかったよ」
ブラックキャットがすんなりと提案に乗ってくれたので風栗は内心ホッとしました。




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